ビタミンCが不足すると、命に関わるってホント?

【ビタミンCが不足すると、命に関わるってホント?】

 

◆大航海時代に流行った謎の病の正体

 

「健康の基本は食事である」というのは、今では当たり前過ぎて見向きもされないかもしれません。しかし、“飽食の時代”であるがゆえに、かえって私たちは食の大切さを忘れているのではないでしょうか。

 

手軽なサプリの一つに、ビタミンCがあります。ビタミンCは、お菓子やドリンクなど、様々な食品に添加され、ありふれた栄養素になっていますが、かつてはビタミンC欠乏症による死者が多かったことを、ご存じでしょうか。

 

15世紀頃にヨーロッパで大航海時代が始まると、船乗りを中心に、原因不明の奇病が流行りました。この病気は壊血病と呼ばれ、かかると衰弱し、鼻や口から出血し、苦しみながら死んでいきました。原因はビタミンC不足でしたが、当時はもちろん、まだ発見されていません。
推計によると、16世紀から18世紀半ばの250年間に、少なくとも100万人以上が壊血病で亡くなったとされています。

 

1747年、イギリス海軍軍医のジェームズ・リンドが、世界で初めて臨床実験を行い、柑橘類による壊血病予防効果を立証しました。後には、海軍の全船でライムジュースを「毎日」食料として支給するようになっています。
この頃になると、経験的に柑橘系に含まれるビタミンCが壊血病を予防することがわかってきたのです。

けれども、最終的にビタミンCが分離・結晶化されるのは、20世紀に入ってからでした。1937年、ビタミンCを発見したセント=ジェルジに、ノーベル生理学・医学賞が贈られています。


《参考文献》
薬史学雑誌51(1),5-10(2016)、『世界史を変えた薬』(佐藤健太郎著、2015年、講談社)、All About:2019年10月29日、他

 

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◆ビタミンCは、“アンチエイジング(抗老化)栄養素”の一つ

 

ビタミンCの効能については、今更言うまでもありませんが、壊血病を発症する原因は、コラーゲンが生成できなくなるためです。
コラーゲンは、「お肌の張り」をイメージするように、皮膚・血管・靱帯・軟骨などを構成するタンパク質の一種で、細胞を繋ぎ止める役割があります。よって、ビタミンCが不足すると、細胞同士の繋がりがなくなり、体が崩壊してしまうのです。

 

また、ビタミンCには、毛細血管や歯などを正常に保ち、皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けを防ぐ作用があります。美容にも効果があるのはもちろん、病気に対する抵抗力を高めたり、抗酸化作用もあったりと、がんや動脈硬化の予防、老化防止成分としても注目されています。

 

令和元年国民健康・栄養調査によると、日本人のビタミンCの平均摂取量は93.5mgで、推定平均必要量85mgを超えているため、普通の食生活をしている人は、必要量は摂取できていると考えられます。
ただし、外食が多い人、コンビニやデパ地下で食事を済ませることが多い人、無理なダイエットをしている人などは、ビタミンC不足に陥らないよう、注意が必要です。

 

ビタミンCは、水溶性ビタミンに分類され、体内に蓄積されにくいことから、日々、意識して摂ることが大切です。健康面からも、アンチエイジング的観点からも、ビタミンCは、ぜひ積極的に摂取したい栄養素の一つですね。

 

サーチュインクリニック大阪 院長 鈴木嘉洋

 


《参考文献》
NATIONAL GEOGRAPHIC:2017年1月20日、健康長寿ネット:2023年8月17日、e-ヘルスネット、他

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