私たちは、“がん”とどのように付き合っていけばいいのか?

【私たちは、“がん”とどのように付き合っていけばいいのか?】

 

◆がん細胞の芽を早めに摘み取るための2つの対策

 

 私たちの体には、もともとがんに対する防御機能が備わっていますが、老化や何らかの原因によってがん抑制遺伝子や免疫機能などが劣化し、やがて臓器不全を起こしてがんを発症します。
 残念ながら、現状、がんを完全に防ぐ方法はありません。どんなに気をつけていても、普通の生活を送っているだけで、日々、体内の遺伝子が傷つき、がん細胞が生まれてしまいます。

 

 私たちの体内で生まれているがん細胞の芽を摘み取るには、

 

1、可能な限り老化のスピードを遅らせること
2、細胞が本来持っている免疫力や自己治癒力を回復させること

 

 現状では、この2つがポイントだと言えるでしょう。

 老化ががんの大きな要因の一つになっているということは、アンチエイジング(抗老化医療)もがん治療としての効果を発揮する、ということを意味します。

 

 細胞の自己修復力を回復させるには、一般的には食事、運動、睡眠の質を高めることが知られています。それ以外の方法としては、不足している栄養素をサプリなどで補ったり、NMN点滴を行ったりする方法などが挙げられます。

 

 NMNとはβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドという、ビタミンB3の一種です。摂取すると、体内でNADに変換され、長寿遺伝子と言われるサーチュイン遺伝子を活性化させる効果が期待できます。NMNが含まれている食品には、アボガド、ブロッコリー、キャベツなどがありますが、普通の食事だけで必要量を摂取するのは難しいため、点滴やサプリメントでの摂取が推奨されます。

 


《参考文献》
『LIFE SPAN(ライフスパン)老いなき世界』(デビッド・A・シンクレア他著、2020年、東洋経済新報社)、他

 

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◆年を取ってからの“がん”は、そこまで怖くない

 

 私たちにとって、がんが怖い病気であるのは間違いありませんが、一方で、「“老衰死”とされている死因の一部は、本当はがんなのではないか?」という説があります。

 

 今のところ、人間が死ぬのは避けられませんから、「せめて、なるべく苦しまずに死にたい」と誰もが思っていることでしょう。 なるべく苦しまずに死ぬ様子を、私たちは“ピンピンコロリ”と表現したりしますが、実はこのパターンは、がんで死に至る様子と酷似しているのです。

 

 

 ただし、これは平均寿命まで元気でいた場合の話です。平均寿命を過ぎてからのがんは、進行がゆっくりで、症状も自覚しにくいという特徴があります。
 ですから平均寿命までは健康でいられるよう、是非できることから始めてみてください。

 

 今年の1月に食道がんでお亡くなりになった経済評論家の山崎元さんは、生前のインタビューで「がんはそれほど付き合いにくい病気ではない」とおっしゃっていました。
 たいてい、がんは判明してから死ぬまでにある程度の時間があり、しかも経過が予測しやすいことから、「自分の持ち時間の中で何をすべきか?」という順序付けができるようになる、とのことでした。

 

 私たちのような一般人が、がんになってもなお、山崎さんのように冷静な状況分析ができるかどうかは分かりませんが、非常に参考になるお言葉だと思います。
 山崎さんのご冥福をお祈りいたします。

 

サーチュインクリニック大阪 院長 鈴木嘉洋

 


《参考文献》
『なぜ水素で細胞から若返るのか 抗酸化作用とアンチエイジング』(辻直樹著、2016年、PHP研究所)、トウシル「ホンネの投資教室」:2023年1月24日、他

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