病院では、“長寿社会”に対応し切れない理由

【病院では、“長寿社会”に対応し切れない理由】

 

◆志半ばで去って逝った多くのビジネスパーソン

少し、私の経験をお話しさせてください。私はもともと、総合病院に勤める内科医でした。

病院の医師といえども、基本的にはサラリーマンと同じです。ただ、普通のサラリーマンと大きく違うのは、私がこれまで多くの患者様の死と向き合ってきたことでしょう。
呼吸器内科を専門としていた私のところへやってくるのは、多くが肺がんなどの重い疾病を患っている患者様でした。

 

実は、たいていのがん患者は、来院された当初は比較的元気です。

初期のがんは、明確な自覚症状がないことも多く、病院に来る頃には、すでに病気が相当進行している場合が多いのが実情です。
一見、元気だとしても、がんの転移がすでに始まっていれば、手術で完治する見込みはありません。ほとんどの人は、放射線治療や抗がん剤投与の結果、身を削られるようにして亡くなっていくのです。

 

がん患者というと、お年寄りを想像する人が多いかもしれませんが、実際は、40代から50代といった、働き盛りの人もたくさん来院されます。

 

彼らには家族がいて、仕事もあって、時には小さな子供がいたり、会社の重要な役職に就いていたり、部下を大勢抱える経営者などもいました。
彼らは、人生で困難に立ち向かっている、まさにその時に、病気によって行く手を阻まれてしまった人たちでした。


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◆病院とは「病気を治すところ」

患者様の苦悩を間近で見てきた私が、常々感じていたのは、「病院に来てからでは遅い」ということです。そもそも病院とは、病気を治すところであって、「健康になるところ」「元気になるところ」ではありません。

人々の間で、「病気が治れば元気になれる」という考え方が広まったのは、昔は病気で死ぬ人が多かったからだと思われます。

 

 

厚生労働省が発表している死因順位によると、1947年(昭和22年)の日本人の死因の一位は結核で、2位が肺炎及び気管支炎、3位が胃腸炎、4位が脳血管疾患、5位が老衰でした。


ご覧の通り、当時の死因は細菌やウイルス感染による死が上位を占めています。同年の平均寿命を見ると、男性が50.06歳、女性が53.96歳でした。


かつては若くして亡くなる人が多かったために、その分、がんを発症する人が少なかったのです。

がんが死因の5位に入ってくるのは、日本人の平均寿命が60歳前後に延びた1950年からであり、初めてがんが死因の一位になったのは、日本人の平均寿命が75歳を超えた1982年以降のことです。


現代医療によって、私たちの生活の質が著しく向上したのは事実ですが、基本的に、病院とは病気を治すことに特化した機関であるとお考えください。

 

 

人間が、長寿社会に対応するためには、従来にはない考え方や、新しい治療法が求められます。

 


「一人でも多くの方に、悔いのない人生を歩んでいただきたい」

 

 

このような想いから、私はアンチエイジング(抗老化医療)の世界に足を踏み入れたのです。

 

サーチュインクリニック院長 鈴木嘉洋


【参考文献】
厚生労働省HP、厚生労働統計協会、他

 

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